「Plot&Structure」から学ぶシーンの運用法

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Characters, Emontion & Viewpointがなかなか読み終わらないので、その前にPlot & Strucutreから学んだことを参考にシーンの運用法について少し書いておきたいと思います。

まず、シーンとは何でしょうか?アリアンロッド基本ルールブックには、

シーンとは、分かりやすく言えば映画やTVドラマなどのひとつひとつの「場面」のことである。セッションという物語は、この「場面」の連続であり、シナリオとはこのシーンをつなげる為の情報なのだ。注意してほしいのは、シーンは「場所や時間といった物理的な要素に縛られない」ということだ。シーンはシナリオ、すなわち物語を進める為の必然性によって生まれ、演出されるのである。

とあります。この「シーン」はFEAR社のシステムに特有のものにも思えますが、必ずしもそうではありません。どのようなシステムをプレイしていても、重要でない場面は時間や物理的な制約を飛ばして次の場面に進むことは当然のように行われていると思います。例えば、シナリオの目的である洞窟に向かう時に、「村を出て6時間ほどのところで洞窟を見つけたよ」という処理をすることはあるでしょうし、シティアドベンチャーで、いちいちどの道を進んでどの角を曲がったら目的のNPCに会えるか、という処理はしないと思います。「シーン制」という形でこれを明確に定義し、登場判定などを含めてゲーム的にも処理できるようにしたのはFEAR社のシステムのユニークで革新的な要素ですが、この考え方自体は、どの時代のどのシステムにも適用できると考えられます。

シーンを上記のように定義するとすると、いくつかの課題が浮かび上がってきます。

  • どのような状況をシーンとして取り上げ、どのような状況は飛ばすべきか
  • どうやってシーンを効果的に演出するか
それぞれ、標題の本を参考にしながら議論します。

まず、どのような状況をシーンとして演出することを選び、どのような場面を短い説明で飛ばすべきでしょうか?本書には下記の4つの要素がシーンを構成できる要素と書かれています。

  • アクション(目的に向かって進むこと)
  • 感情的反応(状況に対する主人公の感情的反応)
  • 導入/伏線(後のシーンの為に必要な要素)
  • 深化(キャラクターとの絆を深める為の脱線)

アクションとそれに対する主人公の感情的反応がシーンを構成する主要な要素であり、伏線と深化は副次的な要素です。さらにここでは、シーンに加えて、「ビート」という単位を使います。「ビート」とはシーンよりもさらに小さい要素で、シーンの一部として上記の4つの要素として機能を果たすものです。

アクションとは、キャラクターが何かをすることで、目的に向かって進展させようとすることです。これは物語の大部分を占めるはずで、これが少ないと物語の展開はスローになります。感情的な反応は、主人公の感情的な反応の描写です。これでシーン全体を構成しても良いのですが、シーンの中でアクションのビートの後に続き、またそれにアクションが続くというような形で、ビートとして挿入されることが効果的です。伏線を張ることはどのような小説にも必要ですが、その為に全シーンを使うことは最小限にとどめるべきだと思います。深化はあまり沢山使うことはできませんが、読者とキャラクターの絆を深める為に、少し効果的に使うことが良いとされています。

TRPGの場合、主人公はプレイヤーとプレイヤーの操るPCです。ですから、主人公の感情的反応は、GMがコントロールする要素ではありません。ですから、アクションを中心に、それに対するPCやプレイヤーの感情的な反応(もしあれば)を副次的な要素としてシーンを構成し、必要に応じて伏線となる情報を与えることがTRPGのシーンの主要な目的で、もう一つは、PC/NPCとの絆を深める為の多少の脱線が副次的なシーンの目的と考えられます。

もう少し整理して書きますと、

  • PCが目的に向かって何らかの行動を取る場面。必要に応じて伏線が張られる
  • PC/NPCとの絆を深める為に、コミュニケーションを演出する場面
ある場面がこれらのいずれかの条件に当てはまる場合はシーンとして構成し、そうでないものは飛ばして良いということになります。

ただ、実際的な問題として、プレイヤーが目的の達成に向かっていると信じながら全く関係ない方向に行動を取っている場合にどうするかということがあります。このような場合も、シーンとして演出し、最終的に効果的と思われる方向にプレイヤーが向くような情報を提供することが効果的と思います。

さて、このような形でシーンとして演出する部分と簡潔に説明する部分を選ぶとして、シーンをどうやって効果的に演出することができるでしょうか。

小説のシーンを魅力的にする為には、3つのポイントがあると書かれています。まずは、最初に読者を惹き付けること。次いで、興味を継続すること。そして、次に読み進めたくなるようにするということです。

最初に読者を惹き付ける為には、状況の丁寧な説明から始めるのではなく、動きのある要素、例えば会話などから始め、興味を誘った上で徐々に状況説明をしていくのが良いと書かれています。TRPGの場合は、シーンの最初を必ずNPCの会話で始めるわけにはいきませんし、登場人物であるプレイヤーは、周囲の状況を把握している必要があります。マスターから押し付けたシーンでなければ、プレイヤーはシーンの展開に関心を持っているはずですから、この点についてはそれほど考える必要はなさそうです。

興味を持続する為には、物理的なものにしろ、感情的なものにしろ、緊張感を演出することが必要です。その為に一番良いのは、障害を用いることです。敵対的な人物や、意見の対立、あるいは乗り越えなければならない罠や目標でも良いかもしれません。TRPG的な視点で言えば、GMが一方的に情報を与えるのではなく、何らかの形でプレイヤーかPCが試されるということですね。後でも書きますが、もちろん全てのシーンが最高の緊張感を持っているべきではなく、シナリオの流れに従って、緊張感の強さには程度があるべきです。

次に読み進めたくなる為には、次の展開を暗示するような情報で終えるのが良いとされています。TRPGのケースで言えば、次の展開につながる情報をシーンの最後に持ってくること、逆に情報や進展があれば、その後は引き延ばさずに次のシーンへ移ってしまう、ということでしょうか。

整理しますと、
  • 何らかの形で、プレイヤーあるいはPCが課題を解決する必要があるのが望ましい。
  • 次の展開につながる情報や進展があれば、シーンを引き延ばさずに切ってしまう。
ということかと思います。

シーンと緊張感については、本書にももう少し記述がありますので、そこから補足しておきたいと思います。

シーンの緊張感は、上手くコントロールすることが必要です。緊張感の低い所から始まり、高いところへ一直線で緊張感を高めていく必要はありませんが、大きな流れとしては、クライマックスに近づくにつれて緊張感が高まるような配慮が必要です。これは、ストーリー全体でもそうですし、1シーンの中でも同じことが言えます。TRPGにおける緊張感は課題の難易度やNPCとの感情的なやり取りに基づくものですが、それを上手く配分することが必要です。強い緊張感があまり続かないように息抜き的なシーンを設けたりすることは効果的だと思います。

緊張感を高める演出上のテクニックとして、引き延ばしがあります。描写を細かくし、臨場感を高めることで、結果を引き延ばし、緊張感を持続させることができます。ただ、TRPGの現実に即して考えると、戦闘シーンなどは元々時間がかなり掛かりますので、演出は簡潔にし、ゲーム的な難易度で緊張感を演出することに集中する方が効果的かもしれません。

また、小説における演出と説明の使い分けの基本原則は、それがどれだけ盛り上がる、面白い状況か、ということだそうです。状況が盛り上がり、面白いほど、主観視点に近づき、状況を細かく描写し、展開を引き延ばして急ぎません。逆に、盛り上がらない状況は、簡素に説明して飛ばしてしまいます。このことはマスタリングでも参考になります。

最後に、TRPG固有の問題をカバーする為に、私の考えを少し追加しておきます。

これはCharacters, Emotions & Viewpointにも書かれているのですが、説明的な展開、つまり作者側(TRPGの場合はGM)の都合で、情報を一方的に与える展開は最小限とし、プレイヤーが主観的な視点で物語に関われるような演出を心がけるべきと考えます。小説ですら、説明的な展開は読者を退屈させます。「あなたが主人公になって物語に参加する」ことが謳い文句のTRPGでは、説明的な展開がプレイヤーをいかに退屈させるかは疑う余地がありません。

それは、どのようなコミュニケーションも迫真の演技で行うべき、という意味ではなく、あくまでPCが見たこと、感じたこと、考えたこと、聞いたことという視点で情報を与えることにフォーカスすべきということです。いかに時間をかけて考えたものだとしても、バックストーリーを長々と説明したり、NPCだけが登場するシーンを長々と続けたり、後日談が延々と続くようなものは退屈ではないか、と考えるということです。

さて、長くなりましたのでこのへんで終わりにしましょう。今回は、小説の書き方を参考に、物語という観点でTRPGをとらえた場合に、どのようにシーンを構成、運用していくのが良いのか議論しました。多少でもご参考になれば幸いです。次は、どうやってアイデアを考え、練っていくかについて書くか、あるいは今度こそCharacters, Emotions & Viewpointを参考に、キャラクターの作り方と演出について書いてみたいと思います。









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